多様体
17世紀に、解析幾何学と徴分積分学が発見されて以来、曲線や曲面の一般的性質が、解析幾何学と徴分積分学の両方を用いて研究されるようになりました。空間の曲線は、その上の点の直交座標x、y、zを一つの媒介変数tの関数として与えたの形の方程式で表わされます。
x=f(t),y=g(t),z=h(t)
そしてtが変化するにつれて、これらのx、y、zを直交座標とする点はこの曲線を描きます。したがって曲線は、この意味で一重に拡がったものと考えられます。また曲面は、その上の点の直交座標x、y、zを、二つの媒介変数、uとvの関数として与えた
x=f(u,v),y=g(u,v),x=h(u,v)
の形の方程式で表わされます。したがって曲面はこの意味で二重に拡がったものとして考えられます。リーマンは、この考えを拡張してn重に拡がっえものを考えて、これをn次元多様体と言いました。リーマンは、このn次元多様体を、主として徴分幾何学の見地から研究しましたが、のちにポアンカレは、各点でn次元ユークリッド空間と同相な近傍を持つ連結位相空間をn次元多様体と言って、多様体の組合せ位相幾何学的研究への道を開きました。多様体の徴分幾何学的、位相幾何学的、そして徴分位相幾何学的研究は、現代数学の中心的話題の一つです。

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